劇場版 ドラえもん のび太の宝島 感想「親が子どもに教えるべき大事なことのお話」
こんばんは、うなぎです。
映画ドラえもん のび太の宝島を見てみたので、感想を残しておきます。
自分の年代だと映画のドラえもん=大長編であったのに、その枕詞がなくなって久しいので、映画のドラえもんはいつも年齢を感じながら視聴しております。
この映画はいろいろ見てて、思うことがありました。この映画の主題は、親が子に教えるべきことです。アオリ文句の見つけたのは、宝物以上の、宝物。が、これに該当すると感じました。そしてあのエピソードにつながります。
全然まったく子ども向けではないですね。隠れたメインターゲットは、これまで子ども時代にアニメドラえもんを見てきた、マンガのドラえもんを読んできた大人たちに狙いを定めています。原作を知っているかどうかで、全く評価が変わるでしょう。
書きたいこと、不満点はたくさんあるのですが、気になったところだけ感想として残しておく。
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あらすじ
公式サイトより抜粋
「宝島を見つける!」とジャイアンたちに宣言したのび太は、ドラえもんのひみつ道具“宝探し地図”を使って宝島を探すことに。地図が指し示した場所は、なんと太平洋上に突然現れた新しい島だった・・・。
ノビタオーラ号と名付けられた船で宝島に向かったのび太たちは、あと少しで島に上陸というところで謎の海賊たちから襲われる!急にあらわれた敵に立ち向かうのび太たちだったが、戦いのドタバタの中でしずかが海賊船にさらわれてしまう!
海賊に逃げられた後、のび太たちは海に漂う一人の少年フロックとオウム型ロボットのクイズと出会う。フロックは海賊船から逃げ出したメカニックで宝島の重要な秘密を知っていた!はたしてのび太たちは無事しずかを助けることができるのか!?そして宝島に眠る財宝に隠された秘密とは一体!?
公式サイト
エピソードの構成
- のび太がスティーブンソンの宝島に憧れ、宝探しに出発しようとする。いつもどおり宿題優先と怒るのび太ママ玉子さん、ママから言われてシブシブのび太に説教するパパさん。パパさんのシブシブ度合いは、ロマンに憧れる子どもの気持ちもわかるというところが十分に表現されており、子どもがいる男親の気持ちがよく出ています。
- 当然ながら、隠れて帆船を作り、出向するのび太、しずか、ジャイアン、スネ夫。そしてドラえもん。今回のエピソードでは、海底鬼岩城みたく海に行くんだ、宿題を先にみんなで片付けるんだとはならない模様。
- 宝島では、海賊が登場、上陸しようとするのび太たちを阻みます。ここらの中ボス的な適役がワンピースのバギーとアルビダみたいな組み合わせですが、元があるのだろうか。ここは重要ではないので、あまり気にしない。
- 宝島は実は船(潜水艦、宇宙船、海賊たちのアジト)であり、そこの海賊たちにさらわれるしずかちゃん、ヒロインらしい。さらわれた先では、働かざる者食うべからずと、海賊たちに食事を作ってあげたり生活感あふれてます。ドラビアンナイトや鬼岩城みたく捕虜な扱いではないのね。
- 宝島の船長であるシルバー船長の目的は、大西洋の海底火山から地球のコアエネルギーを取り出し、これを燃料に他の星系に旅立つことでした。タイムマシンを発明し人類滅亡の時代の未来を見てしまったシルバー船長は、これに対し自身の子どもたちの未来を守るための行動でありました。宝島には他の星系に渡るための資金としての金銀財宝、ノアの方舟よろしく地球のの様々な生物、人間が長期間生活するための設備などが完備されております。
- これを止めようとするシルバー船長の息子フロックとセーラ、そしてドラえもんたち。息子フロックは、父であるシルバー船長の宇宙脱出計画を阻止して和解、フロック、セーラ、シルバー船長は親子の絆を回復し、宝島の住民である海賊たちと去っていきました。
- エピローグ。のび太パパがのび太に、自分も宝島の小説が大変好きだったことを語ります。シルバー船長とフロックの対比として、のび太パパとのび太の親子との絆が表現される良いエピソードでした。
元ネタについて
- スティーヴンソンの児童文学『宝島』
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- ドラえもん 第45巻 南海の大冒険
- ふしぎの海のナディアのオマージュ?なんかたくさんありました。
- 宝島が実は恒星間航行が可能なレベルの宇宙船であるということ。
宝島対ノビタオーラ号の艦隊戦。レッドノア対ニューノーチラス号かと思いました。もっと総員雷撃戦用意!!とか、対ショック対閃光防御!!とか、イッケェェェェといって突撃するとかやって、力を入れてほしかったけど、そうすると違う作品になってしまうかな。ニューノーチラス号の艦隊戦はとてもおもしろいです。ふしぎの海のナディア第38回 宇宙へにおける名シーンです。ぜひ見ましょう。バリヤーを張る宝島に対し、突撃してバリヤーを破壊、侵入する展開は同じ流れですね。ノビタオーラ号は衝角がないので折れたマスト+ドラえもんが衝角の代わりになってしまっています。
宝島がノアの方舟であるということ。紀元前の大洪水でも使用された云々とかのくだりがあってもよかったのかもしれない。でも尺が足りなくなってしまうかな。
宝島には住人たちの正体。作中では彼らは時空間海賊であり、他の時代で海賊が強奪した宝物とかを集め、資金にしているようだ。ドラえもんの世界における絶対的力を保有するタイムパトロールが登場して問題を解決!という話にならないところから察すると、ギガゾンビのような時間犯罪者には該当しないのかもしれない。彼らは時間移動の技術は有しているようだが、いつの時代の人物なのかは、どこから来たのかは語られなかった。
ラストで宝島の船で、シルバー船長とフロックたちはどこかへ旅立ってしまった。地球のエネルギーは返還してしまったので、他の星系までは飛べないのかもしれない。どこへ行ってしまったのかは気になるところですね。ナディアだと宝島の住人は古代に地球に移住してきた他の星系の宇宙人であったので、他の星系の人たちなのかもしれない。ナディアだとバベルの塔の実験失敗で宝島の住人たちは滅亡してしまうわけだけど、滅亡しなかったら、ドラの宝島の住人たちのような行動をとったとも考えられる。他の星系への移住は困難になったのかもしれないけど、現在の船の状態で行けるところまで行こうという判断で旅立ったのかもしれない。(他のウェブサイトでは未来人では?との感想を書いている人もいましたが、ぼくは他の星系からの移民であると思いました)
その他小ネタたちたくさん。他にもあると思うので探してみましょう。ぼくが好きな登場した小ネタは下の2つです。
この映画で伝えたいこと
- この映画において、もっとも印象的なセリフに、人のしあわせを願い、人の不幸を悲しむことができる、そんな大人に育ってほしいというセリフがあります。
- これはフロックの母親がシルバー船長に語った言葉ですが、のび太の結婚前夜でも類似の台詞が描かれます。
- ぼくは、親から子へこのような人間であってほしい思いが宝物であると感じました。
- 自分の子どもであるフロック、セーラを滅亡する運命の地球から脱出させ、大人に育てたいとの思いから暴走するシルバー船長に追い詰められるドラ一行ですが、前述の考え方を基準に行動していくことで最終的に勝利につなぐことができました。シルバー船長も改心させることができました。
一部の人だけでも確実に滅亡から救うことを決めたシルバー船長に対し、大人は絶対に間違わないのか(そんなことはない、どんな理由があっても人の不幸なんて見たくない。みんな救うんだ)と言い返し行動していくのび太にはこの尊い精神は確実に宿っていると感じました。なんだかジョジョの黄金の精神のようですね。
不確実な全員よりも、確実に一部を救うことのほうが合理的なのかもしれません。でも、これはドラえもんの考え方ではありません。戯言であっても、人の幸せを思えば、全員を救うことを選択すること。そんなことを笑って言えるにんげんでありたいと思いました。